チャレンジその3-1





翌日の朝三橋の顔を見るなりオレは聞いた。

「傷どう?」

三橋はみるみる赤くなった。

「・・・・・平気。」

本当かな。 自分でわかるのかな。
こいつのことだから治ってなくても平気なふりとかしそうだ。
とりあえず買っておいた薬を周りに誰もいない時に押し付けた。
三橋はまた赤面しながら 「え」 とかもごもご言ってうろたえていたけど
無視して勝手に荷物に押し込んでおいた。
けど、ちゃんと使うかは大いに疑わしい。
だもんで、オレはそれから毎日朝練の最中にこっそりと 「傷もう治った?」 と聞き続けた。
三橋はそのたびに顔を赤くしながら 「平気」 と言い続けたけど
1週間経ったところで 「もう治った。」 とはっきり言った。
それでオレもようやく安心して聞くのをやめた。

別に早く治して次をやりたいとかそういうつもりじゃねぇけど。
だってやっぱり気になる。  オレのせいであんな。

でも治ったと聞いた途端に 「じゃあもうできるな」 と一瞬思っちゃったのは
我ながらしょーもないけどそれは仕方ないと思う。 やっぱりな。
とはいえ、実際問題それからしばらくの間は
何だかんだと忙しかったりチャンスがなかったりでそんな時間は持てないでいた。
隙をついて部室でちょっと触るくらいで。
仕方ないとわかってはいたけど、それでも次第に
思う存分撫でまくりたいという欲求がまたもや増殖してきていたから、
ある日三橋が赤い顔して
「明日の夜さ・・・・・うちの親いないんだ・・・・・・・」 と言ってきたときは
嬉しさのあまり人目も憚らず抱きしめたくなって
その衝動を抑えるのにかなりの精神力を要した。

できるのももちろん嬉しかったけど。

三橋が。
三橋からそれを言ってくれたことがもう信じられなかった。
いや前回三橋もその気になってくれたのはわかっていたけどそれでも。
こんなことひょっとして初めてじゃねぇかな。
以前こいつから映画に誘ってくれた時は思い切り悲惨な裏事情があったしな。

そんなワケでオレは翌日の荷物の中に
ゴムだのローションだの替えの下着だのを忍ばせながら、盛大にニヤけてしまったんだ。







○○○○○○

さすがに3度目になると夕食だとか風呂だとかいろいろ
そこまでの手順 (手順に入るのかすごく疑問だけど) は滞りなく済んで
さぁそろそろやりましょうよという時間になっても三橋も最初ほど緊張してなくて
(ちょっとはしてるみたいだけど大分マシ) 楽になったなぁなんて感慨にふけったりして。

今までの学習を生かしてさっさと電気も消しちゃう。
けど、ふと思い直して豆電だけは残しておいた。 それだけで随分明るい。
案の定三橋は微妙に嫌そうな顔をした。
でも、今日は、今日こそはちゃんと最後までしたい。
となると準備が要る。 よく見えないとやりづらいもんな。

「明るいのイヤ?」
「・・・・・・うん」
「でもどうせこないだ隅々まで見ちゃったし」

面白いように赤くなった。 楽しい。
三橋は赤い顔のまままだ何か言いたげだったけど無視して素早く口を塞いだ。
早く始めたいのもあったけど、もうその時点で我慢できなくなっていたから。
実は三橋にキスすんのすげぇ好きだったりする。
だっていきなり表情が変わるんだ。 色っぽくなる。
多分自分じゃわかってねぇんだろうけど。
こいつキスだけですごく感じてるような気がする。  うぬぼれじゃなく。
オレも気持ちいいし。

なので念入りにする。 途中でベッドに移動してまたしつこくする。
しながらそっと三橋の下半身を触ったらもうちゃんと反応していた。
他はどこも触ってないのに。 やっぱこいつキスでこんだけ感じるんだ。
実はオレももう勃ってるけどな。 オレはまぁともかくとして。

そろそろとそこを撫でたら三橋が 「ん・・・・・・・」 と切なげに喘いだ。
もうできそうなくらいの声。
でももちろん勿体無いからすぐになんかやらない。
今日はとにかく触りまくってこいつにいっぱい喘がせたい。 時間もたっくさんあるし。

そう思ったからオレは早い段階で服も全部脱がせて (自分もさっさと脱いで)
時間をかけていろいろめいっぱいしてやった。
三橋は相変わらず声を我慢しようとしてるみたいだけど、
最初ほど必死になって抑えない、ような気がする。
それでも顔は隠そうとするんで時々腕を外す。  感じてる顔が見たいから。
けどあまりむきになってやめさせるのは諦める。
もっと慣れてからでいいよな。
それに体は随分逃げなくなった。 それだけでも進歩(?)だと思う。
最初はこんなに筋力使ってどーすんだ筋トレじゃねんだからってくらい逃げまくったもんなぁ。

それよりも。
もうわかっているところ以外にも感じるところないかなと思って
腕とか足とかもあちこち噛んでみたり (痕にならない程度に)
足の指とかまで舐めてみる。 (これはかなり抵抗された)
したら結構またいっぱい見つかった。

(ふぅん。 こんなにあるんだ・・・・・・・・・)

というか。  前から思ってたけど。
こいつってすげぇ敏感なんじゃないんだろうか。
比較対象がほとんどないんでよくわかんねーけど。
ほとんどってのは中学の時ちょびっと付き合ったコとかいたから。
全くもって全部初めてってわけじゃない。 けどまぁほとんどはハジメテだけど。

でもオレがあれこれやり過ぎたんで三橋のほうは途中でまた泣き出してしまった。
泣かれるとちょっと焦る。
イヤなのかな? とかしんどいのかな? とかつい思っちゃって聞いてみたくなる。

「もしかしてこれ、イヤ・・・・・・?」

顔が横に振られた。 ホっとする。

「じゃあ何で泣くのさ。」
「・・・・・・・・かんない・・・・・・・」

わからない、のか。  気にしなくていいのかな。
続きをやろうとしたところで小さな声が聞こえた。 予想してなかったんで少し驚いた。

「多分」
「え?」
「・・・・・・・・良くて」
「は?」
「き、気持ちイイと、」

なんかすごいこと言われてるような。

「な、涙が勝手に」
(・・・・・・・・マジかよ・・・・・・・・)

感じ過ぎてつらいってこと?

「・・・・・・・気持ちいい? すごく?」
「・・・・・・・うん・・・・・・・」

しばらく感動に浸ってしまった。
三橋の、状態を見れば同じ男だからどの程度感じてるかとか大体はわかるけど。
でも言葉でそう言ってもらえるとやっぱすげー嬉しい。
三橋は言いながらもまた ぽろっと涙を零した。
その涙をぺろりと舐めてみる。 しょっぱい。
人の涙なんかこれまで舐めたことない。
でも三橋のなら何でも舐められるぜオレ! なんてちょっと変態かな。 まぁいいよな。


やり過ぎて三橋が我慢できなくてうっかり先にイっちゃったらヤだなと思って
(だっていっしょにいきたかったから)
一通り触りまくったり舐めまくったりして満足したところでやってみることにする。
その前に一応念のためにお伺いを立てとこう。
流石に今日はイヤとは言わないだろうけど、何となく。

「今日はいいんだよな?」
「・・・・・・・・うん」

瞬間片思い(だと思ってた頃) のあれこれが走馬灯のように駆け巡っちゃった。
またちょっと浸る。
今日は時間も気にしなくていいし、なんて思いながら目を瞑って じーんとしてたら

「阿部、くん?」

訝しげに呼ばれてしまった。 あ、いけね  と我に返った。   浸りすぎ。

キリのいいところでまず付けちゃえ、   と思ってさっさとゴムを付ける。
三橋はちらっとオレの方を見て、それから慌てたように目を瞑った。
その閉じた睫がかすかに震えてんのがわかってしまった。

(やっぱ少し怖いのかな・・・・・・・・・)

前回悲惨だったからそれも無理もない。
なるべく痛くしないでやりたいんだけどオレもあんま自信ない。 でも頑張ってみる。
次は。 ローション。

あらかじめゴムといっしょにベッドのそばに置いておいたんで手を伸ばして取る。
しばし考えてから、三橋の腰の下にクッション(その辺にあったやつ)を置こうとしたら。
予想どおり  「阿部くん・・・?!」  と焦った声が聞こえた。
声と同時に抵抗も始まる。
だってそのままだと触りにくいんだもんなここ。   というわけで言ってみる。

「そのままでもいいけど、それだと足を思い切り上げてくんないと」

そこまで言ったところで三橋が諦めるのがわかった。
どっちのが恥ずかしいか天秤にかけたんだと思う。
抵抗が消えたんでクッションを押し込んだ。
ほらこうすれば楽だろ。 お互いに。
三橋だって少し足を広げるだけで済むわけだし。
慣れてないんだからオレだってあんまり恥ずかしい思いはさせたくない。
・・・・・させるのも楽しいんだけど。 本当はな。 それはまたそのうち。

自分の指にたっぷりローションを落としてそろそろと入れてみた。 1本だけ。
じーっと三橋の様子を見ながら。

三橋は目を瞑ったまま黙っている。 でもやっぱ変な顔してる。
痛そうではない、けど。
すぐに抜いてまた足す。 とにかく切れないようにしないと。
また血が出たらオレきっとまた絶対できなくなる。
今度は少し奥まで侵入させてみた。 痛がらない。

「・・・・・痛くない・・・・・・?」
「・・・・うん・・・・・」

変な顔してるけど痛くはないみたいだ。 ホッとした。

「気持ちいい・・・・・・?」

答はわかるような気がしたけど一応聞いてみる。

「・・・・・・・・・・・・。」

沈黙が返ってきた。 ダメか。 ちぇ。
念のためと思ってまた抜いてまた足す。 念には念を入れて。
もっと奥まで入れてみる。 それから少し動かしてみた。

「・・・う・・・・・・・」
「どんな感じ?」
「・・・・・・変な感じ・・・・・」
(あーそうですか。 変・・・・ねえ・・・・・・・)

まぁそうだろうな。 こんなとこに入れて本当に感じるのかな。
慣れてくると違うのかな。
オレは少々やけくそ気味にさっきより大きく指を動かしてみた。 そしたら。

唐突に三橋が びくっと震えた。

(・・・・・・・・・あれ?)

顔が。
少し   変わった。
また動かしてみる。

「あっっ・・・・・」

声が出た。 しかも。 その瞬間三橋が目を開けた。 すごいびっくりしたみたいな目で。
それからオレの顔を見ていきなり真っ赤になって
どういうわけだか体を捩って逃げ出そうとした。 けど。
よじった拍子にオレの指がまたどこかに当たった。

「あぁっっ」

声だけじゃなく今度はのけぞった。

(・・・・これって・・・・・・・・・・)

これはもう。 はっきり感じてる声じゃ。
それに咄嗟に逃げようとしたのが何よりの証拠じゃねぇか?
なので空いてるほうの手で腰をがっちり掴んで逃げられないようにして
見当をつけてある部分に指を当てて撫でてみた。 さっき当たったところ。
 
「あっ あっ 」

思わず、という感じの声がまた出た。 

「・・・ヤだ・・・・・そこ、ヤダ・・・・・・・」

(ここ・・・・・気持ちイイんだ・・・・・・・・)

ヤダも何も三橋の体の状態が何より雄弁に語っている。
オトコってホントにわかりやすい。
だから三橋の抗議は無視して一回抜いて今度は2本に増やしてみた。
素早くさっきと同じあたりをそろそろと、でも少し強めに刺激してみる。

「・・・・!!!  は・・・・あぁ・・・・ん・・・・」

三橋がもう見も世もないって感じで喘いだ。


その顔を見てオレは一瞬にして全身の血が沸騰するような感覚に襲われた。















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