チャレンジその2-4





「じゃあこっちに来いよ」 と言ってみた。

オレはまだ半信半疑だった。 本当はイヤなんじゃねえのかな。
無理してんだったらやめてほしい。  オレはやりたいけど。 でもな。

自分から来られないようならやめようと思って
ちょっと試すような気持ちで待っていたら。

三橋は赤い顔しながらもじりじりと寄ってきた。
だもんでまた理性があさっての方向に。  あぁオレって正直。

(ホントにできるんだ・・・・・・・・・・)

そう思ったら衝動的に抱き締めて口付けていた。 
すげぇ嬉しい。   どんなに嬉しいか、こいつ、わかってっかな。
でもそうだ、あんま時間ないんだっけ。

思い出して離した。 そこでもう1つするべきことがあるのを思い出した。

オレの準備しなきゃ。  中で出しちゃうとハラ壊すらしいし。
本当かどうかは知んないけど、ただでさえ三橋のが負担が大きいんだから
リスクはなるべく減らしてやんねぇと。

「ちょっと待ってて」

言い置いてからベッドを下りてドアの近くに放り出されていた荷物の中から
財布を出してゴムを取り出してまた戻った。  すげー歩きにくかった。
三橋は目を丸くして見ている。
何となく気恥ずかしいから (三橋の恥ずかしさに比べれば何てことないんだろうけど)
後ろを向いて自分のズボンを少し下ろした。 (あぁきつかった)
考えてみれば三橋は下は全部脱がせちゃっているのに (上も乱れまくっているし)
オレだけほとんど着たまま、てのは何だかズルい気がする、けど。
まぁ苦情も言われないしいいや。

自分のを出してゴムを付ける。
これ実はこっそり練習してあったんで問題なくできたりする。
したら後ろで見てたらしい三橋がいきなり言った。

「・・・阿部くん・・・・・慣れてる・・・ね・・・・・・・」
は?」

いやそれは練習したから・・・・・・・・と言うのもかっこわりーなと思って
それから 「あ」 と気が付いた。  こいつなんか誤解してんじゃねーの?

もしかして。

ヤキモチ?

オレはゲンキンにも顔がニヤけちゃった。
ヤキモチだったら嬉しい。 だっていっつもオレばっか何だかんだ嫉妬してんだもん。
でも不安にさせたいわけじゃないから一応言っとこう。

「なことねーよ。 オレだって初めてだもん。」

三橋は 「え」 て顔してから次にあからさまにホッとした表情になった。 へえ。

「今妬いた?」

ニヤニヤしながら聞いたら 「・・べ・・・別に・・・・・」 とか何とかごまかしている。
バツの悪い顔しちゃってさ。 いいよもうわかったから。

「で、でも」
「え?」
「こないだも、思ったけど」
「・・・・・・・・?」
「阿部くん、初めてにしては、・・・・・余裕、あるよね・・・・・・・」

全  然  ね  ー  よ  !!!

・・・・・と思ったけど訂正すんのはやめとこう。 都合のいい誤解はそのままに。
でもあれで余裕あるように見えたのか。
こいつが経験なくて良かった。  (あったらショックだぜ)
さてそれでっと。

改めて三橋の背中を支えながらゆっくり押し倒してから、よいしょと腰を抱えなおした。
一応それでも少しはほぐさないとと思って指を舐めて (今度は自分で)
いれようとしたら、慌てたような声に遮られた。

「・・い・・・いい・・・・・。 それやんなくて。」

何でさ。
(・・・・・・恥ずかしいわけね・・・・・・)

ちょっと明るいしな。 時間もないし。
だもんで足を思い切り開かせてから (だってそうしないと入んない) いよいよあてがってみる。

(・・・・・・入んのかな・・・・・・・・)

オレは不安になった。 
でも挿れたい。  やめたくない。 てかやめられない。
三橋はぎゅっと目を瞑って固まってしまっている。
やっぱり怖いんだろう。 全身が強張っているのがよくわかる。
そんなに緊張してちゃ余計無理・・・・・・・と一瞬思ったけど構わずに (なにしろ時間が)
えいっっとばかりに押し込んでみた。


(・・・・・・きつ・・・・・・・・・・・)

かろうじて先っぽだけ入った、はいいけど。
痛い、    んだけど。     きつすぎる。

でも三橋のほうはもうそれどころじゃないみたいだった。
挿れた瞬間 ひゅっと息を呑んでのけぞって、それから涙がぼろぼろ溢れ出た。
悲鳴が漏れなかったのが奇跡ってくらい痛そうな顔になった。
オレは慌てた。

(痛いんだろうな・・・・・・)

当たり前か。   どうすれば。
とにかく入り口が一番痛そうなんで、とりあえずもう少し中まで無理矢理進んでみた。
あ、中はそんなに思ってたほど狭くない  とオレが少しホッとしたのもつかの間、
三橋が今度ははっきりと悲鳴をあげた。

「い!!!・・・・・ィ タ・・・・・」

顔はもう 「苦痛」 以外のナニモノでもない。
さっきまでそれでも元気だった三橋のものも萎えちゃっている。
オレのほうは痛みに混じってちょっと快感もあるんだけど。
でもこれ以上先に進めそうもない。 きつくて。
それに何より三橋がこれじゃあ。

「えっとさ、ちょっと力抜けねえ・・・・・・・・・・?」
「・・・・・は・・・・・・・・」

三橋は薄目を開けてオレを見て多分やってくれようとしてるんだろうけど
あんまり変わらない。
なんか中にも気持ちイイとこがあるらしいんだけど、
偶然そこに当たんねぇかなとか思って、無理矢理少しだけ揺すってみたら。

「あっ!!!!・・・・・・いっっ・・・・」

また悲鳴が漏れた。 これ絶対喘ぎ声じゃない。 やっぱダメだ。
とにかく一回抜こう。  このままじゃかわいそう過ぎ・・・・・・・・・・

急いで抜こうとして。


オレは焦った。


(・・・・・・・・・・・・抜けねえ・・・・・・・・・・・・)

だからきつくて。

「三橋、あのさ」
「・・・・う・・・・・・・」
「抜くから」
「・・・・・・・・・・・。」
「力抜いて」

涙をぼろぼろ零しながら必死になっているのはわかるんだけど、やっぱりあまり変わらない。
てか全然変わらない。 気のせいか余計きつくなってくるような。
オレも痛いけど、とにかくもうかわいそうで見てらんない。
早く抜いてやんねーと。

オレはそれ以上三橋の苦痛に満ちた顔を見ていたくなくて
根元を持って力任せに えいっっと引いた。
したら抜けた。  ホっとした。

でも。
その、自分のを見た途端。

オレは青くなった。  だって。

赤いものが    付いてる。

これ

血   だ。   オレのじゃねぇから、 三橋、 の。




ダメ    だ



今日はもうやめる・・・・・・・・・・・・・・・













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