チャレンジその1-5





しょうがねぇとオレは目的の半分くらい諦めることを考えてみた。

本当は今日絶対絶対したかったんだけど。
そんで安心したかったんだけど。
というか本当に本気で欲しかったんだけど。

でもこんなに怯えて緊張しまくっている三橋を前にすると
どうしても無理矢理になっちゃいそうで、
それはそれでちょっと本意じゃないような気も。

いや本音を言うと嫌がる三橋を押さえ付けてめちゃめちゃにしたい衝動なんかも
実はないと言えば嘘になる、てかはっきりあるんだけど。  困ったことに。

やっぱりそれは何か違う気がする。
何しろ初めてなんだし。
お互いにとって幸せな思い出にしたい。 オレだけじゃなくて。

強引に説得すれば押しに弱いこいつのことだから何とかなるような気もするけど。
(・・・・・・・そうじゃなくて)
もっとこう。 ある程度は本人に自発的にその気になってほしいっつーか。
あんまり一方的にオレからだけってのは、
(・・・・・・・何だか・・・・・・・・・・・・・・・・・寂しい・・・・・・もんな・・・・・・・・・・・・・・)
うん。 残念だけど。 ここは潔く。


そこまで考えてオレはそっと三橋のほうに近付こうとした。

びくっとした感じで三橋がさらに後ろに・・・・・・・・・下がろうとするけど
残念ながら壁があるからそれは叶わない。
横に逃げられる前にと慌ててオレは言った。

「じゃあさ、最後までしねぇから。」
「・・・・・え・・・・・・・」
「痛いことしないからさ。 それならいいだろ?」
「・・・・・う・・・・・・・」

三橋は明らかに迷い始めた。 
さっきまでの 「絶対イヤ」 オーラが急速に減っている。 しめしめ。
迷っているうちに素早くそばに移動して優しく抱きしめた。
僅かに体が揺れたけど逃げない、ことに内心でホっとしながら囁いた。

「しよ? 三橋。」
「・・・・・・・うん・・・・・・・」

小さな返事が返ってきた。 あぁ良かった。 やっと先に進める。
で、続きをしようとしたら

「ちょっと・・・・待って・・・・・・・」

今  度  は  何  だ  よ  !!!

「なに!」 
「・・・でんき・・・・・・・」

はい?

「電気、消して・・・・も、いい・・・・・・?」

明るいのがイヤなわけね。 ふーん。 なるほど。
そうだよな初めてだしな。
でも消すとよく見えなくなっちゃう・・・・・よな。 それはつまんないかも。

とか思ったけどもうオレは先に進みたくてたまらなかったので、黙って立って電気を消した。
したら。

いきなりいい雰囲気じゃん!
暗がりっていいかも。 やっぱり暗いほうが一気にヤらしい雰囲気になってこれは大正解、
なんて内心にやにやしてしまった。

「なあ、ベッド行こ?」

顔がよく見えないからそんなこともすらっと言える。
お互い丸見えだとこういうことまで照れちゃってダメなんですけどオレ。
でも暗いと何とかなるもんだなこれはいいこと知ったぞ。

三橋のほうも暗くなって却って少し落ち着いたのかもしれない。
大人しく立ったのでやや強引に手を引っ張ってベッドに連れてった。
(と言ってもほんの2〜3歩だけど。
そのたった2〜3歩を本人が進んで歩くと思えなかったんで。)
「座って」 と言ったらまた素直にヘリに座った。  
なかなかいい調子じゃん!!  と内心でにんまりする。

そこでオレはふと、上だけ脱がせちゃえと思いついた。
だってジャージだから (オレの貸してやった) 寝ちゃうと脱がせにくい。
こういうときはボタンのほうが絶対いいな。  寝ながら脱がせられる。
一個ずつ外していくのって楽しそう。

(今度やりてーな・・・・・・・・・)

でもボタンのパジャマなんて持ってないから今日はもう仕方ない。

「三橋バンザイして」
「へ?」
「バンザイ」
「???」

きょとんとしている。
わかってくれないんで両手を持って上に上げさせて 「そのままな」 と言いながら
えいやっとジャージを脱がせてしまった。  自分の服を脱がせるのって変な感じ。

「ひゃあ」

三橋はびっくりしてる。
というか、何か全然色気ねーなこの脱がせ方。
初心者のためのエッチ講座、とかあったらきっとNGだ。
ムードもなにもあったもんじゃねぇ。

(でもまぁいいやこれからこれから)

ついでに自分のもさっさと脱いじゃう。 上だけだけど。
三橋が目を見開いているのが暗がりでもわかった。
きっと顔赤くしている。 多分絶対。

その次に や っ と オレは今度こそ三橋をベッドに押し倒すことができた。
夢にまで見たこの瞬間。
てかホントに冗談じゃなくこいつを押し倒す夢を何度見たかわからない。
現実にできるなんてカケラも考えてなかった時期もあったのにと思うと
なんつーかこう。

感無量。


三橋は今オレの下でぎゅっと目を瞑って横たわっている。
その寄せられた眉とか強張った肩とかからすると、まだ相当緊張しているみたいだけど。
でもその姿を見た途端いきなり自分の体がカーッと熱くなるのがわかった。
すでにもう暗さに目が慣れて、慣れるとカーテン越しに入ってくる外灯の光とかで
意外と明るいんでよく見える。 表情も見える。
それから肌の白さ、も。
こいつの裸なんて着替えで見慣れていると思ってたのに。
こうして薄暗い中でベッドに横たわっているといつもと全然違って見える。  すっごく。

(色っぽい・・・・・・・・・・・・)


オレは自分の理性が一気に目減りしていくのをはっきりと、感じた。















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