それが問題






問題は、  と阿部は難しい顔で考えた。

爽やかに晴れ渡ったある春の日。   部活中の休憩時間のことである。




皆でいっしょに風呂に入らなければならない、てことだよな・・・・・・

そりゃさ、他のヤツにとっては三橋の裸なんて何てことない、てのはわかってるけど。
でも後輩も入ってきたことだし、もしかしてひょっとして
(三橋先輩って色白いんだな) とか
(華奢なんだな)  とか
(乳首ピンクだな)  とか
うっかり思うヤツがいないとも限らねぇじゃん!!

ヤだな・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

でも。
まさか2人だけ後で別に入る、なんてことできるワケねーしな。
なるべくオレのそばにいさせてオレが盾になるしかねぇか・・・・・・・・・・・・・

んで、三橋には悪いけど目立つところにキスマークでも付けとけば
うっかりヨコシマな気持ちを抱くヤツがいても (もう相手いるんだな) と思って諦めるだろ。

・・・・・・・・・・・待てよ。

そんなの付けとくと却って逆に目を引いて、まじまじと見るヤツとか
いるかもしんねーな。
それは困る、てかすげぇヤだ。

付けるべきか、付けざるべきか、それが問題だな・・・・・・・・・・・・・・・・

あ、あと。
オレがうっかりピンクに染まった三橋を見ておかしな気分になっちゃったらまずいな。
男ってこういう時ホンット不便だよなー。  隠せないもんなぁ。
入る前にトイレで抜いたほうがいいかもしんない。

・・・・それって相当マヌケな気もするなぁ・・・・・・・・・・・・・

でもオレ、マジで簡単に勃っちゃうんだよなー困ったことに。

とにかく長く入っているのはダメだな。 あらゆる意味でマズいな。 さっさと出ねーと。
あ、でも三橋が出るまでは傍にくっ付いているとなると、
三橋がもたもたしてるとダメなんじゃん!!!
・・・・・・・・・すげもたつきそう。
・・・・・・・・・てことはオレが洗ってやればいいんだなうん。

でもそれやると余計危険なんじゃないだろうか。
だろうかじゃなくて確実に危険だ。   勃つか鼻血出すかどっちかしそうだぜ。

・・・・・・・・・マズいな・・・・・・・・・・・・
やっぱヌいとくか。
・・・・・・・・けどそれしてもあんま意味ねーような気もすんだよなぁ。

どうしたもんか。

難しい問題だな・・・・・・・・・・・・・














そんなふうに悶々と悩む阿部を見ながら、
少し離れたところで2人の後輩がひそひそと話していた。


「阿部先輩、厳しい顔してんな。」
「うん、阿部先輩ってかっこいいよなぁ。」
「オレもそう思う!! リードセンスもすげぇし。」
「なに考えてるんだろう」
「すごく真剣な顔してるね・・・・・」
「次の対戦相手の攻略方法とか」
「そうかもな。 きっともうデータ全部頭に入ってんだぜ。」
「すげぇよなぁ・・・・・・」
「オレもあんなふうになりたい・・・・・・・・・・」
「憧れるよな!」












さらにもう少し離れたところでは花井と田島がこそこそと話していた。


「阿部が妙に怖い顔してんぜ」
「そうだな・・・・・」
「天気いいのになー。 なに考えてんだろ」
「次の合宿で三橋を風呂でどう隠すか、 とかどうせそんなとこだろ。」
「あ、オレも今そう思ってたんだ!」
「それくらいしか思い当たらないぜ」
「あとさ!! 風呂場で勃ったらどうしようとかさ!!!」
「・・・・ははは・・・・」
「いやマジであれ困るよなぁ!」
「そんなのおまえと阿部くらいだよ。」
「あ、ひっでーな! オレはダイジョブだぜ風呂場では!」
「そう願いたいね。」
「阿部はヤバいな。」
「ヤバいな。」
「それで悩んでんだぜきっと!」
「阿部の大真面目な思考ってったらそれくらいだよなー」
「ぎゃははは!!  花井ひでー」





さすが、1年1ヶ月の付き合いは伊達ではないのであった。















                                             それが問題 了 
オマケ

                                             SSTOPへ






                                                   まぁいろいろあるよね。(・・・・)