衝動 オマケ





そんなふうに阿部が呆然としながら
体裁だけ取り繕って探すふりをしていたら、また三橋の声がした。

「阿部、くん」

阿部は振り向かなかった。 振り向けなかった。
自分は今どんな顔をしているかわからない、 と思った。

なのに三橋はそれを許さなかった。

阿部の腕を掴んだのだ。
ぎょっとして思わず向き直ってしまった。

2人の目が、 かっちりと合った。

三橋は でもすぐに俯いた。  そして言った。

「い、 いい。」
「え?」
「自分で、 探す、 から」
「・・・・・・・・・。」
「阿部くんは、 帰って・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・。」
「だから、・・・・・・・・・・き・・・・・・・」
「・・・・・・みは」
「嫌いに、 ならな・・・・・・・・・・・で」

三橋の声は震えていた。

阿部はぎゅっと目を瞑った。
瞑ったまま言った。


「ごめん三橋」
「・・・・え・・・・・?」



「ごめんな」



言って、 それから噛み付くように口付けた。










                                             了
                                          
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