手相




西浦高校野球部面々は今日も部室で楽しそうにわいわいやっている。
意外にも西広が手相に詳しいとかで皆で見せっこになったのだ。

「へえーすげえな」
「水谷長生きするってこと?」
「田島は単純過ぎなんじゃね? 感情線どまっすぐ。」

そこに阿部が入ってきた。

「・・・・・・何やってんだ?」

「おー阿部。手相見てんの。」
「人によって結構違うのな。」

「・・・オレ見てやろっか、三橋。」
「え、阿部って見れんの?」
「まぁね。 三橋、手ぇ貸して。」

おずおず。
ぎゅうう。

「・・・イタ・・・・・・」
「おっとわり」

さわさわさわ

「・・・阿部くん、・・・くすぐったい・・・・・・」
「あ、ごめん」

花井が微妙な顔をしたが誰も気づかない。

「どう? 三橋の手相。」
「えーとね、健康。」
「へぇえ」
「わかるんだ。」
「それから芯が強い。」
「そうかな。」
「当たってんじゃねぇ?」
「それから泣き虫。」

三橋がびっくりしたように言った。
「当たってる・・・・。 すごいね、阿部くん。」

(((((・・・てかそれは誰でもわかるんじゃ・・・・・・・)))))

「あと、身近に運命の相手がいる。」
「え・・・・・本当に?」  三橋がびっくりしたように言った。
「どこでわかんのそんなの。」
「誰?」
「かなり近くにいる。」

三橋が考えながら言った。
「誰・・・・だろ・・・・。 あ、身近というとイトコ・・・・とか・・・・・・」
「ち   が   う。」
「そこまでわかんのか?」

花井が黙ってため息をついた。

「すっげーな、阿部。 なぁなぁオレのも見てよ。恋愛運。」
「田島の? やだよ。」
「何でだよーケチ!」

「・・・阿部いつまで握ってんだ・・・・・・・」

花井のつぶやきは阿部の耳には届かなかったようだった。




西浦の面々は今日も元気である。







                                              了(NEXT

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                                       これ連載の2人じゃないですね・・・・・