熱を計る






「顔、 赤いな」

と言われたときは、本当に自分でもわかってなかった。

「え?」
「いつもより赤いぜ。」
「そ、そう・・・・かな・・・・・・・・・?」
「おまえ、熱あんじゃねぇ?」
「え・・・・・ない、と思う、 よ?」
「そう?」

言いながら阿部くんの手が すーっとおでこに伸びてきた。
オレはそれだけでドキドキする。
顔が熱くなっちゃって、ない熱が出るような気がする・・・・・・・・・。

「よくわかんねぇな・・・・・」
「・・・・・・・・・。」
「体温計、こないだからないんだよなぁ」
「・・・・・・ダイジョブ、だよ。」
「三橋」
「え?」
「口、 開けて」
「・・・・・・へ?」
「いいから早く」

何だかわからないけど口を少し開けたらそこに阿部くんの唇が。

「!!!!」

びっくりしていたら あっというまに舌が入ってきた。
慌てるまもなく舌を絡めとられて強く吸われて、すぐにどうでもよくなった。
ここが部室だってことも。
中には他に誰もいないけど、今が練習中だってことも。



しばらくして阿部くんが離れた時、オレは ぼーっとして阿部くんにしがみついていた。

「やっぱおまえ熱ある。」
「・・・・・へ・・・・?」
「舌が熱い。」

・・・・・え・・・・・・・・・・・・

「今の・・・・・・・熱、 計ったの・・・・・・・・・?」
「そう。」
「・・・・・・・・・・・。」
「一番わかりやすいもん」

・・・・・その割には、 長かったし・・・・・・・・・いろいろと・・・・・・・・・

「なに? 何か文句でも?」
「・・・・ない、です・・・・・・」


体温計がなくて良かった、 なんて思ったことは
阿部くんには内緒、 にしとこう・・・・・・・・・・・。









                                          了(NEXT

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