目指すもの







初めて榛名さんの球を目の当たりにした時ショックを受けた。
自分とは全然違う音を立てて空を切る、魅力的な球。
しかもそれを他でもない阿部くんが かつて受けていたということが。

ただ、  ショックだった。



阿部くんはオレの球に本当は満足していないんじゃないか、 とか。

オレに気を遣って 「いい投手」 と言ってくれたんじゃないか、 とか。

オレもできればああなりたかった、 とか。



でもいろいろ考えても悩んでも、結局オレにできることは1つしかない。

オレはオレのできる範囲で精一杯頑張るしかないんだ。


その結果たとえ阿部くんがオレの球に見切りをつけても、

オレは自分にできることをするしかない。




オレは榛名さんにはなれない。   オレにしかなれない。





だからオレは

今日も頑張って練習する。





誰のためでもなく、


自分のために。











                                           了

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