丸わかり







いつものように部室に向かっていたらたまたま花井と田島に会った。
3人で連れ立って歩いていたら

「あ」

田島が声をあげた。

「ケータイ落ちてる」

田島はあっというまに拾い上げて、躊躇なくパカっと開けた。
だけでなく電源を入れている様子。

「田島、人のものを勝手に・・・・・・・」
「えー。 でも誰のかわかるかもじゃん」
「でも」
「かてーこと言うなよなー栄口」

オレの制止に事もなく反論する田島。
まぁそれは確かにそうだけど。
でもそのためには受信記録とか何だか見るわけだろ??
それってなんか。

なんてコマコマと考えていたら、意外にも田島は他には何の操作もせずに
「誰のかわかった」  と言って笑った。
やけに早い。

「ほら」 

言いながら花井に渡している。
花井も一瞥しただけで  「オレもわかった」  とつぶやいた。
心なしかその顔は疲れているように見えた。

「見せて?」

渡された携帯の待ち受け画面を見たと同時に、オレもわかった。

そこには滅多にお目にかかれない、 三橋の とびきりの 笑顔が。



「「「阿部のだな」」」



きれいにハモってしまった。










                                             了(NEXT

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                                                「一番大事なもの」ラストと連動してます。