どうにかする
               「伝説の男」の阿部です。







「三橋の泣き顔見ると、どーにかしてやりたくなる・・・・・・・」

ぼそりと阿部がそうつぶやいた時、深く考えずに同意した。

「うん、わかる。 オレも」
「なにぃ??!」

阿部の反応が凄まじかったのでびっくりして飛び上がってしまった。

「ダメだ!!」
「え?」
「おまえはダメだ!!」

その剣幕に押されながらもオレは少しムっとした。
チームメイトが泣いていたら、何とかしてやりたいと思うのがいけないことか?
そりゃあ三橋は阿部のコイビトかもしんないけど、
そういう独占欲はココロ狭すぎるし、三橋だってかわいそうじゃないの?

そう思ったオレは反論した。

「いーじゃんかよ!!」
「ダメだ!!」
「何でダメなんだよ?!」
「何でだと・・・・・・・・・・・?」

阿部から噴き出す黒いオーラに真剣にびびったところで
誰かがつんつん、とオレの背中をつついた。
見ると花井だった。 花井はオレの耳元でこそこそと囁いた。

「泉、 違う」
「え?」
「『どうにかする』 の意味が違う」

あっ、 と気付いた。  けど遅かった。
阿部の背後はすでに真っ黒けになっていた。
慌てて訂正した。

「だから!! 三橋が泣いていると何とかしてやりたくなる って意味だよ!」

すぅっ と黒いオーラが消えた。 
けろりと、阿部は言った。

「なら、いい」

びびった分急速にムカついて、思わず言ってやった。

「おまえのその変態な性癖、どうにかしろ!」










                                            了(NEXT

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                                                     どうにもなりません。