追加項目





最初から少しだけ嫌な感じ、というか不安な予感みたいなもんはあったんだ。



だってコンビニで買ってきた弁当を夕食に食った直後くらいから
急に目が細くなった。
・・・・・わけないから、つまり、目が半分閉じている、ということだ。
三橋は目がでかいからすごくわかりやすい。
明らかに、 「眠そう」。

でもだからといってまさか、何もしないで寝ましょうか、なんて心境になれるわけない。
三橋はどうかしんないけど、オレには無理絶対無理。

特に今日は家族がいないから本当に特別に楽しみにしていたんだ。
最近は親がいても三橋が泊まって、夜中にこっそり音に気をつけつつ
最後までいたしちゃうこともあんだけど、やっぱ落ち着かない。
それに三橋が声を抑えちゃうかっこうの口実になって、面白くない。
実際大きな声が出るとヤバいのも事実だからあんまりいろいろできなくて
オレとしてはいささか不完全燃焼な面もある。

だから今日はめいっぱい感じさせて思い切り乱れさせてやろうなんて
内心で意欲と期待満々でいたのも当然だと思う。

なので無駄話はあまりしないで早々に風呂も済ませて、
まだ宵の口ってくらいに有無をも言わさずベッドに引きずり込んでさっさと始めてしまった。

三橋は最初 「え」 とかうろたえつつ顔には 「もうするの・・・・・?」 とくっきり書いてあって
相変わらずわかりやすいヤツだなと思いながら
「我慢できねぇ」 と耳元で囁いたら赤面しながらも抵抗しなくて、
よしよしと満足しながら最初に服も全部脱がせてしまった。

白い肌がベッドの上で露になるとそれだけでオレはもうできそうなくらい興奮すんだけど、
衝動はぐっと抑えて丁寧に愛撫してやると
いつものことだけどあっというまに目が潤んで息が乱れてくる。

もう三橋を気持ち良くさせるコツはたくさん掴んでいる。
何しろオレの頭の中には三橋用リストが2種類あったりする。
1つは 「野球用リスト」。
三橋の球のクセとかコントロールが乱れた時の原因となりうる体調とか
あるいは心理的な原因リストとか細々と25項目。

そしてもう1つが 「三橋の体リスト」 だ。
三橋はどこがどれくらい感じるかとかどういうキスが好きとか、
どこをどうするとどこが反応するとか、
泣き出した時は苦しくて泣いてんのか気持ちヨくて泣いてんのかの見極めが重要とか、
ぶっちゃけて言ってしまえばエッチに役立つあれこれ様々な事柄が40項目。

三橋と体を合わせるたびにいろいろ試して地道に作った貴重な、オレだけのデータだ。
その情報を駆使してやれば感じやすい三橋を翻弄するのなんて簡単で。
乱れて喘いで、でも必死で自制しようとする三橋を見るのがとにかく楽しい。

そんなわけでその時もその技術 (ていうのもどうかと思うけど) を十二分に活用したんで
三橋はソッコーで美味しそうな状態になった。
当初の予定では本当は時間をかけてじっくり楽しむつもりだったけど、
たちまち涙を零し始めた三橋のモノが愛しくて、つい早い段階でそれに触れてしまった。

「あ・・・・・・・あ、 ん」

やけに色っぽい声とともに三橋が大きく身を震わせるのを見るのが楽しくて
軽く、ごく軽く擦っただけなのに。
それだけの刺激で三橋はぶるぶると痙攣して
え??  と思った時はもう小さく呻いて勢い良く放出していた。

びっくりした。

元々三橋は敏感なせいで早い傾向にはあるんけど。
(もっとも 「早い」 という言葉は男には禁句だから言わねーけどさ)
それにしても今回は早過ぎた。
本格的に追い上げたわけでもないのにまさかもう達するなんて思わなかった。

オレも驚いたけど本人はオレ以上にびっくりしたみたいで
全部出ちゃってから三橋が真っ赤になってうろたえているのがわかった。

「・・・・・疲れてんだな」

半分は慰め、残り半分は真実を言ったらりんごみたいな顔で
「ごめ・・・・・・・・」
なんて謝るもんだから 「いいよ」 と言ってやった。
つーか謝る必要なんて全然ない。
三橋を先にイかせることはたまにあるし。
その後もう一回その気にさせるのも簡単だし。
むしろオレが楽しい時間がその分増えて実はお得感もあったりするし。

そう思いながらオレは でも殊勝にも
そんなに疲れてるんなら今日はしつこくしないで早めに終わらせてやろう、 と考えた。
誰もいなくて絶好の機会なのは惜しいけど仕方ない。
明日が休みならともかく、土曜だけど練習はある。
疲れが翌日まで残ったりするのはまずいし、そんな負担のかけ方は本意じゃない。

なので力の抜けた足をそうっと開かせて、もう後ろを解すことに専念し始めた。
なのに、いつもなら指を挿入すると一瞬逃げるような反応をする体が逃げない。
だけでなく奥にある感じる部分を掠るだけでも、
悩まし気なため息を漏らす三橋が今日はひっそりと沈黙している。

不審に思って改めて顔をよーく見たら。


「・・・・・え・・・・・・?」


マヌケな声が出た。  だって信じられない。


三橋は眠っていた。





オレは?


三橋、 オレは???




すうすうと穏やかな寝息を立ててる健やかな寝顔に向かって
心の中でむなしく問いかけても当然のことながら返事はない。

疲れて眠っている (それも多分早くも熟睡) 三橋を叩き起こして無理矢理ヤっちゃう、 
という不穏な考えがまるでよぎらなかったと言えば嘘になるけど。
同時にそんなことが自分にできるんだろうか、 という疑問のほうが前面に出てくる。


オレはしばらく三橋の顔をボケっと眺めて
情けない気分とは裏腹に そのあまりに満足気、かつ無心な寝顔にうっかり見惚れて
ますます絶対起こすことなんてできっこないと確信してしまってそれから。


きっちりと勃ち上がって臨戦態勢になっている自分のムスコを悲しく見下ろした。


そしてこれの処理をどうしようと不毛な考えを巡らせる前にとりあえず。


「三橋の体リスト」 に1つ項目を付け加えた。


「その41: 疲れているらしい時は絶対に、先にイかせてはいけない。」












                                               追加項目 了

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