リセイヲ・トバス・ホウホウ
「・・・はっ・・・・あ・・・・・」 思わず漏れてしまった声にいつものように慌てて口を手で押さえた。 阿部くんがそれを嫌がるのは知っているけど、恥ずかしいものは恥ずかしい。 もう何回もしてるのにちっとも慣れることができない。 「三橋」 あぁやっぱり。 「手ぇどかして」 できればどかしたくない。 と思うのに。 阿部くんの手が伸びてきて掴まれてしまう。 これもよくあること。 「声聞かせて」 「う・・・・・・・」 困っているうちに阿部くんの手がオレの感じるトコロにまた移動する。 「ん・・・・・・・・・」 胸の先端を強く吸われて体が震えた。 もう片方を指できつく摘まれて。 「あっ」 また出てしまった。 押さえたい。 薄目を開けてみたら阿部くんの顔が思ったより近くにあった。 じっとオレの顔を見てる。 熱に浮かされたような目。 それだけでオレは体の中心にさらに熱が集まるのを感じてしまう。 ぞくぞくする。 でも。 顔を見られるのも本当は恥ずかしい。 自分が今どんな顔してるのかわからないけど。 きっと絶対みっともない顔してると、 思う。 だから腕で隠した。 「ダメだって。」 阿部くんがまた腕をどかす。 恥ずかしいのに。 「顔見せて」 これも必ず言われる。 以前 オレの感じてる顔が好きだと言われてびっくりした。 というか恥ずかしかった。 オレは、見られるのイヤだ・・・・・・。 なのでまた隠した。 またどかされる。 また隠す。 その時オレはちょっと意地になってた。 だっていつもオレばかり翻弄されて阿部くんは余裕で。 悔しいような気もするんだもん。 ふいに気配が消えたんで目を開けたら阿部くんは立ってベッドを下りるところだった。 もしかして。 (怒った・・・・・・・?) 少し慌てた。 「あ、阿部くん・・・・・?」 「ちょっと待ってて。」 普通の声だ。 怒ったわけじゃないんだろうか。 阿部くんは机の引出しを開けて何か出している。 すぐに戻ってきた阿部くんの手にあったのは。 紐 だった。 (まさか) 何だかイヤな予感がして、でもまさかそんなことと思いながら寝たまま固まっていたら、 ベッドに戻ってきた阿部くんはオレの両手首をまとめて掴んだ。 逃げる暇もない。 あっと思うまもなく紐でぐるぐる巻かれはじめた。 「えっ・・・・・・・」 オレは心底焦った。 「あ、あ、あ、べくん!!」 「なに」 「何をして・・・・・・・・」 「見りゃわかんだろ。」 まさかと思ったことが現実に。 慌てて抵抗しようとしたけど、もう全然遅かった。 早めに抵抗したところでダメだったような気もするけど。 だって阿部くんが本気になったら多分オレよりずっと力が強い。 「い・・・イヤだ、よ!!!」 「・・・・・・・・・・・・。」 阿部くんは黙って作業を続けた。 だけでなく。 紐の余ったところをオレの頭の上に持っていって、どこかに縛りつけてしまった。 当然オレの手も上がっちゃった。 「や・・・・・・こんなの・・・・いやだ・・・!!」 「・・・・・・・。」 「阿部、 くん!!」 必死で抗議したのに。 無視してまた覆いかぶさってきた。 と思ったらいきなり中心を握られて息が止まりそうになった。 やわやわと愛撫される。 「・・・はっ・・・・」 声が、 と慌てる間もなく きつく擦られた。 「あ ぁっっ」 声が勝手に。 おまけに。 そんなオレの様子を阿部くんがじっと見てる。 観察するみたいに。 恥ずかしさで体が震えた。 「イヤ・・・・だ・・・・・・・・」 無駄とわかっていても手を降ろそうと足掻いた。 紐が手首に食い込んで痛い。 「ダメだよ。 痕が付いちゃうだろ」 阿部くんの声は優しい。 でも意地悪だ。 「お願い・・・だから・・・・・」 はずして と言おうとしてオレはのけぞった。 阿部くんの指が先端を割ったからだ。 「あぁ、 あ!!」 自分の声に耐えられない。 せめてもと唇をぎゅうっと噛み締めた。 そしたらキスをされた。 優しいキス。 いつもの習慣で少し口を開けてしまう。 途端に口の中に指が入ってきた。 驚いて目を開けたら阿部くんは口を離した。 指はそのまま中に残して。 パニックになっているうちにもう一方の手が。 またオレの中心を包んだのがわかった。 ゆっくりと擦られた。 体が勝手に跳ねた。 「ひ・・・・あ・・・・や・・・・」 阿部くんの指があるから口を閉じれない。 「オレの指噛むなよ。」 なんて涼しい顔で言う。 言いながら下のほうの手を激しく動かしたもんだから。 「あ!!・・・・・あ・・・・あ・・・・・」 声が抑えられない。 どうしようもない。 しかもその間も顔をじっと見られている。 恥ずかしくて気が狂いそう。 ダメだろうなと思いながらも、一生懸命 目でイヤだと訴えてみたのに。 阿部くんの目が少し光った ような気がした。 この目は。 (・・・・・何か思いついたときの、目だ・・・・・) それも多分、あまり、 良くないこと。 またしてもイヤな予感がして冷や汗が出てきた。 でも指が口から出て行った。 ホッとした。 続いて中心も手から解放されて全身から力を抜いた瞬間。 「え?!」 阿部くんの手が両膝の裏にかかって大きく左右に割られた。 それだけじゃなくて。 上のほうに持ち上げられるようにして膝が胸につくらいまで深く折り曲げられた。 「あ、あべく・・・・・・・・・」 「苦しくない?」 苦しくはない、けど。 (は、は、恥ずかしいんだけど!) 「おまえって体、すげーやらかいな・・・・・・・」 (い、 いやだこんな格好・・・・・・・・・・) 焦っていたらオレの、いれられるトコロに。 柔らかくて濡れた感触が。 「や・・・・やめ・・・・・!!!!」 思わず悲鳴みたいな声が出た。 「や・・・・・・・阿部くん!!!」 今までそれだけはイヤで拒絶してきたこと。 体をよじって舌から逃れようとしても、阿部くんの手できつく押さえられててできない。 手の自由は利かないしなす術がない。 阿部くんの舌がまとわりつく。 「ふ・・・・あ・・・・・」 恥ずかしいのに。 信じられないくらい気持ち良くて声を抑えられない。 しかもその舌が中まで少し入ってきて。 意思とは逆に喘ぐのを止められない。 顔を見られてないのがせめても、 と思いながらちらっと目を開けてみたら、 阿部くんは舌で愛撫しながら、また じいっとオレの顔を見ていた。 おまけに体勢のせいでいろいろなところが丸見えで。 嫌でも視界に入る光景に耐えられなくて、慌ててまた目を閉じた。 (勘弁して、ほしい・・・・・・・・) と思うのに。 体は正直で、快感のあまり涙が出てきた。 ずっと我慢してたのに。 一度溢れ出たらもう止まらなくなった。 「やめ て」 言葉を発するのすらしんどい。 それに頼んでもきっとやめてなんてくれない、 とわかっているけど言わずにいられない。 「お ねが・・・・・」 阿部くんはやっぱりやめてなんかくれなかった。 執拗に蠢く舌にそのうち狂ったように喘ぐしかできなくなって。 ぼろぼろ泣きながら喘いでいたら、散々弄られてからやっと舌から解放された。 続いて不自然な体勢も解いてくれて、安堵のため息が出た。 とホっとした途端に今度は指が入ってきた。 「ん・・・・・・・」 舌で解されたせいか、最初の違和感がいつもよりずっと少ない。 どころか奥を少し探られただけでもうイきそうになってきた。 いくらなんでも、と思いながら、でもどんどん追い詰められていく。 うっかりすると本当に出ちゃいそう。 阿部くんは、オレが先にイくのは嫌みたいなんだけど。 何でかというと、以前阿部くんがいれる前に我慢できなくて出ちゃって それだけならまだ良かったんだけど、1分も経たないうちに眠っちゃったことがあったからだ。 だってその日は部活以外にも体育でマラソンしたんだ。 て、後で一生懸命説明したら、それ以来阿部くんは練習のきつかった日は 先にイかせてくれなくなってしまった。 でも。 (もういいや・・・・・・・・・・・) なんてちらりと思った。 我慢する気力があまりないし。 なのに。 「あれ?」 阿部くんの小さなつぶやきが聞こえたと思ったら、すぅっと指が出ていった。 まるで計ったかのように。 え? と思って目を開けたら阿部くんはオレの顔をまたじぃっと見ていた。 (あぁ隠したい・・・・・・・・・) そのうち阿部くんは何か考えているような顔になった。 ぼーっと見ていたら。 また何か思いついたような目 になった ような気が、した。 (もう・・・・やだ・・・・・・・・・・・) 予感は当たってさっきと同じように阿部くんはベッドを降りて机のほうに行った。 (あぁやっぱり・・・・・・・) (今度は何だろ・・・・・・・・・) ぐったりして大分投げやりな気分でいたはずなのに。 戻ってきた阿部くんの手にあるものがちらりと見えた時 一体なにする気だろう、 とぼんやり思ってそれから。 ある可能性が頭を掠めて一瞬凍りついた。 まさか。 思わず体を丸めて逃れようと無駄な努力をしたけど それよりほんの少し早く阿部くんに足の上にどかっと乗られてしまった。 間に合ったところで手が拘束されているからどうせダメだったろうけど。 そしてまたしても まさかと思ったことが現実になりそうな気配が。 もう諦めてぎゅっと目を瞑った。 阿部くんの手が器用に動いて、 程なくしてオレのモノの根元にはきつく輪ゴムが巻かれてしまった。 「阿部くん・・・・・・」 「なに?」 「ひどい・・・・・・・」 「・・・・・・・・・。」 「何で・・・こんな・・・・」 「だっておまえ、なんかすぐイっちまいそう。」 やっぱりバレてた。 「今日先にイったら、おまえまた寝そうだもん」 「・・・・・・でも、・・・・手、だって・・・・」 「たまにはいーじゃん」 「・・・・ヤだ・・・・・」 「それにおまえだって、いつもより感じてんじゃね?」 涼しい顔でまた図星をつかれた。 いろいろとバレまくってる。 それは確かにそう、なんだけど。 でも。 恥ずかしいんだけど。 (恥ずかしいから余計感じるのかなぁ・・・・・・・) (オレって変なのかも・・・・・・・・) 半分麻痺した頭でぼんやり考えてたら、すぐにそれどころじゃなくなった。 阿部くんの指が今度は2本入ってきた。 容赦なく刺激される。 中の刺激だけでいっちゃうくらいの触れ方で。 かすかに湿った音が響いて、その音も恥ずかしくてたまらない。 しかも。 「あっ・・・・・・・・・」 中心を柔らかく包まれる感触があった。 阿部くんの口がオレのを含んだからだ。 足が勝手に痙攣した。 前と後ろと同時に攻められて我慢なんてできるわけない。 体中が疼いて解放したくて堪らない。 もう出ちゃう、 出したい。 なのに。 根元が縛ってあるから当然イけない。 「う・・・・あぁ・・・・・・あっ・・・・・」 声を抑える気力もない。 強過ぎる快感に耐えるだけで精一杯。 気が 狂いそう。 新しい涙がどんどん出て喘いでいるんだか嗚咽なんだかよくわからない。 でも今度はそれ程長い時間が経たないうちに、ふいに口が離れた。 「そんなにしんどい?」 口がきけなかったんでかろうじて頷いたら続いて 「外して欲しい?」 と囁かれた。 また必死で頷いた。 ダメもとだったけど。 「ふーん・・・・・・」 つぶやきが聞こえて、涙をぺろりと舐められた。 そのあと意外にもあっさり外してくれた。 はーっと息をついた。 意地悪は終わりにしてくれるのかな と一縷の希望を抱いて頼んでみる。 「て、 も」 「手はダメ」 (ダメかぁ・・・・・・・・・) がっかりする暇もなくすぐにまた指が入ってきた。 けど。 今度は逆にすごくもどかしい感じ。 微妙に感じる部分を外している。 そうしながら相変わらずオレの顔をじーっと見ている。 (のがわかる) (・・・・これ、わざとだ・・・・・) さっきと違って前には触ってくれないし。 今日は徹底して意地悪だ。 声は我慢できてそれはいいんだけど。 今度は勝手に腰が動きそうになる。 でもやりたくない。 恥ずかしいから。 我慢する。 あぁでももどかしい。 もうイきたい。 イかせて ほしい。 「あ・・・阿部・・・くん・・・」 「ん」 「・・・・・・・・もう・・・・・」 「もう何?」 言わせたいんだ、 とわかった。 言えないの知ってるくせに。 「言って? 三橋。」 (楽しそうだね阿部くん・・・・・・・・) 恨めしく思ったけど、オレはもう限界だったんでようやく言った。 「・・・・いれて・・・・」 阿部くんがにっこり笑った。 (ニヤリというほうが正しいかも) と思ったとたんにすっと指が抜かれて腰を抱えられたかと思うと アっというまに深く貫かれた。 「あぁっ!!!」 悲鳴が出た。 痛みのじゃなくて、 快感、のせい で。 もう声が出てもどうでもいいってくらい強烈な快感だった。 いつもは入れた直後は馴染むまで少しじっとしていてくれるのに 最初からいきなりめちゃくちゃに突き上げられた。 自分が恥ずかしい声を上げまくっているのが聞こえるけど、抑える気も起きない。 気持ち良過ぎてどうにかなりそう。 阿部くんの手がオレのを扱いたその刺激で、自分の背がのけぞるのがわかった。 強い解放感のその瞬間 頭の中で白い閃光が弾けて、 散った。 ○○○○○○ 目を開けたら阿部くんの心配そうな顔が見えた。 「大丈夫か? 三橋」 阿部くんはもうオレの中にいなかった。 いつのまに。 「おまえちょっと気ぃ失ってた。」 (えっ・・・・・・・・・) びっくりして、 でも。 手を動かそうとしたらまだ縛られたままだった。 「・・・どれくらい・・・・・・?」 聞いた自分の声がものすごく掠れた。 ひどい声だ。 でもこれ阿部くんの、せいだ。 「えっと、2〜3分くらいかな・・・・・・」 じゃあ本当にちょっとだったんだ。 何だか頭がぼんやりして体にも力が入らない。 疲れた。 阿部くんが微妙にバツの悪い顔をしているのがわかって、少しだけおかしくなった。 でもまだ手が、 と思い出した。 「手・・・・・・」 「あ、ごめん。」 今度こそ、すぐに外してくれた。 解いたらやっぱり手首が少し赤くなってた。 ダメとわかっててもかなり引っ張っちゃったから。 阿部くんがじっと手首を見て、それからそろそろとその痕を優しく撫でてから そこにそっと唇を落とした。 くすぐったい。 そろりと舐められてまたぞくっとした。 思わず震えたら阿部くんが顔を上げてオレを見た。 心配そうな顔だった。 「ごめんな」 「・・・・ん・・・・」 「怒ってない?」 心配に加えて不安そうな顔になったんで、ちょっと笑ってしまった。 オレが阿部くんを本気で怒れるとか思ってるのかな。 「怒ってない・・・よ。」 言ったらホッとした顔で抱きしめてくれた。 いつもの阿部くんだ。 けど。 「恥ずかしかった・・・・・・」 文句を言ってみた。 だって本当に、死ぬほど恥ずかしかった。 そしたら。 「でも今日すっげー良かったぜ。 いつもいいけど、特に。」 また恥ずかしいことを言われた。 さらに。 「たまにはまたしていい?」 「!!」 絶対イヤ、 と言うはずだったのに。 数秒絶句しているうちに口を塞がれて言えなくなっちゃった。 (これ誤解されたかも・・・・・・・・) でも (・・・・・・たまーに だったら) いいかな とか思っている自分に気付いて内心ですごく慌ててしまった。 慌てながらも考えた。 これは阿部くんには、 絶対に 言わないでおこう。 リセイヲ・トバス・ホウホウ 了 SS-B面TOPへ |
言わなくて大正解。