オマケその2






オレはその時すっかり満足していた。
叶に対するムカつきがどうでもいいと思えるくらいには。
何にかというと、自分にだ。

昔のオレならぐだぐだと引き摺って無駄に消耗した挙句、
結果的に三橋にまで要らぬ負担をかけて自己嫌悪にまみれたところだ。
何度も同じ失敗をしたけど、ちゃんと学習だってしてるんだ。
オレも成長したもんだぜ  と密かに悦に入っていた。




そして夜になった今もオレは同じように満足しながら、慣れた作業に勤しんでいる。

「・・・・ん、・・・自分 で」
「いいよ寝てて」

半分寝ぼけたような声の三橋を制して、丁寧に体を拭いてやる。
まだ余韻の残ったとろんとした目をして、
無防備に全部晒している姿を楽しみながらのこの作業が、すげー好きだったりする。
そのまま寝てしまうこともあるけど、我に返ったように起き上がって
慌てて隠そうとする日も未だに多いから、割と貴重だ。
何年経っても相も変わらず恥ずかしがるところにももう慣れた。



オレの成長は、ベッドでもちゃんと証明できた。
電話の後さんざん焦ったり悩んだり怒ったり悶々とした末に
どーっと脱力する勢いで安心した反動で、
以前なら絶対暴走して無理させたところだけど、
そうならないようにちゃんと気を付けることができた。 偉かったオレ!

そりゃ普段よりはちょっと、いや大分激しくなったような気はするけど
あの爆弾のような電話を別にしても、数日間会えなかったんだから
許容の範囲だと思う。  三橋だって同じくらい求めてくれていたし。

正直に言えば別の不満がないこともないんだけど。
三橋の見た夢の内容については大いに気に食わなかった。 でも。

あと5年もすれば三橋もわかるだろう。 オレのしつこ、 もとい一途さを。

と、今やもうどこかで諦め半分開き直り半分になってるから
最近は怒るのはやめたし、あまり気にしないようにしている。
たまにうっかり怒鳴ったりもするけど、今回は流すことができた。

それやこれやで己の進歩に気を良くしながら後始末を全部終えて、
そのまま平和に眠りにつくはずだったんだけど
もう1つどうしても消えない小さなシコリも実はあったので。

うとうとと半分目を閉じかけている三橋に、
最後になって少しだけ意地悪を言ってしまった。

「あのさ、三橋」
「・・・・ん・・・・・・」
「叶の抱き心地って良かった?」
「・・・・・へ?」

三橋はぱちりと目を開けてきょとんとオレを見てから、むくりと起き上がった。
それから遠慮勝ちに抱きついてきた、と思ったらすぐにぎゅうっと力が入った。
身に付いた習性でオレも抱き締め返しながら、
その時点でもうシコリは9割がた消滅したんだけど。

「・・・・・・・あのね」
「うん?」
「寝ぼけてた、から よく覚えてない んだけど」
「・・・・・ふぅん」
「なんか違うなってのは 思って」
「どこが?」
「・・・・・・・阿部くんのがあったかい、よ」
「・・・・・・・・。」
「それに、阿部くんのが 逞しい・・・・・・・」


うっとり、 という声音で言いやがって

煽ってんのかおまえは!!?

とか焦りながらも、オレもいい加減三橋の無自覚天然殺し文句には慣れているし
何より成長したんだし
スマートに かつかっこよく、余裕のある対応を














できるはずもないわけで。
お互いにまだ裸だったし。


「三橋・・・・・!」
「え、 あっ」



また押し倒しちゃった   だけならまだしも



結局暴走したりなんかして。 








おかしいなこんなはずじゃ











でも三橋だって全然嫌がらなかったから、もう良しとする。


だって丸4日と5時間も会えなかったんだから

やっぱ仕方ないと思うんだよな、うん。













                                      オマケその2 了

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                                                 相変わらずなとこもあった。