オマケ
その日の朝練はいつのまにか終わってた。 ミーティングになったことは何となく覚えている。 座ってぼーっとしてたら、何だか皆がちらちらとオレを見てるような気がしたんだけど、 よくわかんねー。 モモカンにまで変な顔で見られたような気がするけど、それもよくわかんねー 授業もあったんだかなかったんだか。 いやあったんだろうな。 なんか、席に座ってたのは確かだし。 ここでもクラスメートたちとか先生とかが妙な目で見てたような気がしたけど、きっと考えすぎだろう。 放課後の練習はちゃんとした。 ちゃんと。 でも何でかわかんねーけどオレは三橋の球を3回、こぼした。 別に暴投でもなんでもない普通のストレートを。 1回目に落とした時は三橋の顔がびっくり、て感じになった。 いけね、 と思って気を引き締めたつもりだったのに。 またやった。 三橋の顔が呆然とした。 3回目に捕り損ねた時には、一瞬哀れみの表情が浮かんだように見えて自分が嫌になった。 しっかりしねーと。 そのためにはさっさと謝っちまおう。 土下座でもなんでもして許してもらおう。 オレはそう考えた。 なので終わった後帰らずに残っていた。 どうせ三橋は最後までいる。 けど、誰か他のヤツもいると話ができねーなそれは困るななんて心配していたけど、 なぜか今日は皆そそくさと消えてくれた。 帰る前にどういうわけかオレの顔をちらりと盗み見るやつが多かったように思えて それが少々気になったけど、とにかく最後に2人きりになれた。 有難いことに。 オレはゆっくりと三橋に近づいた。 また逃げられんのかな・・・・・・・ と内心で怖くて堪らなかったけど、三橋は逃げなかった。 黙ってオレの顔を見て、目が合うと慌てたように視線を床に落とした。 「ごめん三橋」 「・・・・・・・・・・・・。」 「オレ昨日、途中からよく覚えてなくて」 「・・・・うん」 「ほんとごめん・・・・・・・・・」 何したのかってのはよくわかってないけど。 情けなく思いながらうなだれていたら三橋の声がした。 「あの」 「うん」 「ね、熱、のせい、だよね・・・・・・・・・?」 というより酒のせいだと思うケド。 でもそれは言わない。 言ったらきっと泣くから。 「多分そう」 「オ、オレ、・・・・・・怒って、ない よ」 「え?」 ほんとに? 一気に身も心も軽くなりながら、思わず顔を上げて三橋を見たら顔が真っ赤になっていた。 なんで真っ赤?? 「あ、 の、」 「うん」 「それで」 「?」 「し、てもいい、 よ?」 「は?」 なにを? 「あの」 「何を?」 「だから」 「うん」 「き」 き? 「き」 と言えば。 「キス?!」 期待満々で聞いてしまってから 「バカだなオレ」 とどこかで自分を笑った。 いくら許してもらえたからって調子に乗り過ぎだろ。 そんな漫画みたいなことあるワケない何しろ三橋だし。 自分からキスしていいと言うなんて、そんなことは奇跡でも起きない限り。 「う、 うん」 「・・・・・・・・・・・へ?」 すごいマヌケな声が出た。 空耳かな? 今の会話を反芻してみる。 テープ巻き戻し。 『何を?』 → 『だから』 → 『うん』 → 『き』 → 『キス?』 → 『うん』 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。 キスじゃん!!!!! え、していいの? 本当にマジでしていいの? ここで? 今? していんならするよオレ。 して実は違いましたキスじゃなくてキスチョコあるよでしたとか そういうオチじゃねーだろうな!!? 「あべ、くん・・・・・・・・・?」 三橋の声で我に返った。 相変わらず顔が真っ赤だ。 「し、しない、の・・・・・・・?」 します!!!!!!!!!!!!! 三橋の腕を掴んだ自分の手が震えてるのがわかって オレ、かっこわりーなんて瞬間思ったけど。 そっと触れた三橋の唇は信じられないくらい柔らかくて。 嫌がらないどころか、おずおずとオレの背中に手を回してくれた三橋の細い体を やみくもに抱き締めた。 夢中になって長々としてしまった初めて (オレにとっては) のキスは とてつもなく甘くて。 オレは最高に幸せだった。 オマケ 了 SS-B面TOPへ |
良かったね・・・・・・・