オマケ





ぼんやり覚醒した時、何だかいつもより気持ち良かった。
いつもよりあったかい。
なんてぼーっと思いながら目を開けたら目の前に阿部くんの顔があってびっくりした。
じっとオレの顔を見ている。  一瞬で眠気が吹っ飛んだ。
同時にゆうべのあれこれを一気に思い出して
うわぁと思って、思わずどこか隠れるところはないかときょろきょろと探してしまった。

「おはよ」

阿部くんがにっこりと笑った。

「・・・・・ぉはよう・・・・・」

かろうじて返したけど、顔がどんどん熱くなるのがわかる。
一体どんな顔をすれば。

そんなふうにただでさえ焦っていたのに次の瞬間オレはもっと慌ててしまった。
布団の中で阿部くんの手がさわりと、オレのわき腹を撫でたから。

「あっ」

不意打ちだったからうっかり声が出て、反射的に口を押さえた。 
ゆうべのことがまたフラッシュバックする。
阿部くんは面白そうな顔をしながらまださわさわと撫でている。

やめて、と言おうとしても言えない。   だって 気持ち 良くて。

でも阿部くんの視線に耐えられなくてぎゅうっと目を瞑った、途端に
とんでもないことを言われた。

「勃ってる?」
(あ、阿部くん・・・・・・・・・・・・・・・)
そりゃ朝だから。  絶対知ってて言ってる、んだ。
(こ、答えないどこ・・・・・・・・・・・)

そう思ったところで体が勝手に跳ねた。 (それも派手に)
阿部くんの手がオレの中心を布の上からそろそろと撫でたから。
また変な声が出そうになってかろうじて堪えた。  目も開けられない。
でもあっというまに息が上がってくるのをどうすることもできない。

「オレも勃ってるぜ」

耳元で囁かれてぞくっとして体が震えた。 すごく楽しそうな声。

「ヌいてやろうか」

びっくりして目を開けてしまった。
ものすごく近くに阿部くんの黒い目があって うわぁと思って後ろに下がったら
すぐに壁にぶつかった。
慌てるまもなく阿部くんがじりっと身を寄せてきて追い詰められた。  逃げられない。

手で口を押さえたまま、やっと言った。

「いい・・・・・・・・・」
「何で?」

だってこんな明るい、のに。

「明るいから?」 

わ、わかってる、んじゃないか、  と思いながら必死で頷いた。

「じゃあ見ないでやってやるから」
(えぇ??) 

焦っているうちにもう手がするりとズボンの中に入ってきて掴まれた。

「あっ・・・・・・・・・・」

こらえ切れなかった。 だっていきなりなんだもん。   あぁ恥ずかしい。

「や・・・・・・・・・・」

言っても阿部くんは聞いてくれない。
楽しそうにオレの顔を見ながら手のほうはどんどん。

(あ、あ、どうしよう・・・・・・・・・)

気持ち、イイ。
声出ちゃう。  絶対みっともない顔してる。 こんな顔、見られたくないのに。

「顔隠していいぜ?」
(えっ・・・・・・・いいの?)

阿部くんは続けて言った。
「じゃあ後ろ向いて?」
「え?」
「壁のほう向いて。 見ないでてやるから」

そう言いながら一回手を離してくれたんで、ごそごそと布団の中で壁のほうに向きを変えた。

でも。  これじゃして下さいって言ってるようなもんかも。

そう気付いて内心で慌てたところで、ズボンを少しだけ下ろされてもっと慌てた。

「やだ・・・・・・・・・」
「見てねーよ」

また耳元で言うし。

「下ろしとかないと汚れちゃうだろ?」
言い終わらないうちに後ろから手が回ってきてすぐに包まれて優しく扱かれた。

「はっ・・・・・・・・・・・・」

また出ちゃった。  でも、気持ち、良くて。  さらにおまけに。
後ろから耳たぶを噛まれてもう。
耳がこんなに感じるなんてつい昨日まで知らなかった。
たちまち息が乱れてくるのが自分でもわかるけど抑えられない。
声を出さないようにするのが精一杯で。

「もう出そうだな・・・・・・・・」

だから耳元で言わないで・・・・・・・
なんて思ってももう抗議の言葉も言えない。 
どんどん追い詰められて快感で涙がにじんで、次の瞬間には達してしまった。 あっというま。 

(あぁもう・・・・・・・・・・・)

恥ずかしくてどっか行きたい。  出た時 声だけは我慢できたのがせめてもだけど。

「気持ち良かった?」
(そ、そゆこと聞かないで・・・・・・・・・・・・)

黙ってたら阿部くんが手を布団からそーっと出してティッシュで拭いている気配がする。
オレはもう恥ずかしくて目も開けられない。
こっそりズボンだけ上げてそのまま丸まっていたけど、いつまで経っても阿部くんが何も言わないんで
少し不安になってそっと目を開けて上を見たら。

阿部くんは上からオレの顔をまたじーっと覗き込んでいた。 楽しそうな顔で。

「あ、阿部くん・・・・・・・・・・」
「なに?」
「・・・・・・・楽しそう、だね・・・・・・・」  

「うん。楽しい」

オレは恥ずかしい。    でも。

「おまえは? 楽しくねぇの? 気持ち良くなかった?」

そう言いながら阿部くんの顔がみるみる悲しげになった、ので慌てて言った。

「あ、あの、」
「うん」
「・・・・・き、気持ち、良かった、よ」   すごく。

にんまりと、阿部くんが笑った。   もしかしてさっきの顔。
嘘っこだったんじゃ・・・・・・・・
と疑いながらぼーっと見てたら阿部くんは すっと離れてベッドから出ていこうとした。

「オレ トイレ。」 

そこで 「あ」 と気が付いた。  オレばっかしてもらって。

「オ、オレも、する・・・・・・・・・」

言っちゃってから、でもオレできるかなぁと不安になった。
人のなんかしたことない。 (当たり前だけど)
すぐに 「じゃあして」 と言われると思ったのに意外にも
阿部くんは動きを止めてしげしげとオレの顔を見ながら何か考えていた。

「・・・・・・・いいや、また今度やって」

え??  とびっくりした。  何だか悪いような気分に。

「いい、の・・・・・・・・?」 

「うん、いい。 もっと慣れたらな。」

そう言って阿部くんはさっさと行ってしまった。
(えーっと・・・・・・・・・・)
(い、いいのかな・・・・・・・・・・・)

申し訳なく思ったけど、本当にできるのか自信なかったから少しホっとした。 けど。
ちょっとしたかった、かも。   阿部くんの感じてる顔、見たい、かも。
ゆうべはいっぱいいっぱいでとても顔を見る余裕なんてなかった、し。

そこまで考えてふと気付いた。

阿部くんがゆうべオレの顔見たがったのってこういう気持ちだったのかな。
次は、なるべく隠さないように、

「で、できない・・・・・・・・・」

思わず頭を抱えながらオレは思った。

阿部くん、ごめんね。   オレきっとまた隠したくなる、けど。
でもそのうち慣れたら平気になるかもしれないから。

それまで、気長に、待っててね・・・・・・・・・・・














                                                オマケ  了

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                                                   待てないんですねこれが。