オマケ





最中に三橋の視線がやけに同じところにいくな、とは思っていたけど。
理由までは深く考えてなかった。

終わってからぼーっとしていたら、いつもは先に寝こけてしまう三橋が
むくりと起き上がったかと思うとまたそこをじぃっと見て。

涙目になりながら 「ごめんね・・・・」 とつぶやいた。

え?  と思った時はそこをぺろりと、舐められていた。
ちょうど腰骨のあたりだったんで、ぞくっとした。
あっけにとられて見ていると三橋はまた泣きそうな顔で 「ごめん、ね」 と言いながら
そのアザの部分をぺろぺろと舐めるもんだから。

オレは思いがけないご褒美をもらった気分に。

こんなことしてもらえるなら。
いくらアザができてもいいな。
少しくらい痛くてもかまうもんか。
また階段から・・・・・・・・・・・はやっぱり流石に危ないから
転んだ時にでも助けて、ついでにどこかにぶつかれば美味しい思いができる。
学校でずーっとくっ付いて回ってればいくらでも機会がありそう・・・・・・・・

なんてニヤけたところで、ぴたりと、三橋は舐めるのをやめて離れてしまった。

あれ? 終わり?

「オワリ」
「え?」

三橋がまるで心を読んだかのようなことを言った。

「もっとしてくんない?」
「もうしない」

え?

なんか、様子が急に変わったな、  と思って慌てた。

「なんで?」
「だって。   ・・・・・阿部くんが、 わざと怪我するの、  嫌だ」

オレは驚いた。

「何で、オレの考えたことわかったんだよ?」

三橋はじーっとオレを見つめてからぼそりと 言った。

「阿部くん、さっき、 口に出して言ってた、 よ・・・・・・・」



・・・・・・・・しまった。









                                               オマケ 了

                                               SSTOPへ





                                                     しまったじゃない。