しんとした部室の床でそれを見つけたのは偶然だった。

日の光を反射してキラリと光ったそれを何気なく拾い上げた。

・・・・・・三橋のだこれ・・・・・。

すぐにわかった。
以前三橋がそれをポケットにしまうのをぼんやり見ていたことがある。

落としたんだな・・・・・・

落とし主はすでにいない。

というか阿部は監督と話していたせいで今日は皆より少し遅れたので
もう誰もいない。

後で渡してやろう・・・・・・・

そう思いながら手の中の小さな銀色の鍵を大事に握り締める。

それから。

ふと、それに自分の唇を落とした。

離しながら自分でも恥ずかしくなって苦笑してしまう。

少し迷ってからシャツの胸ポケットにそっとしまった。

胸がほんのり温かくなったような気がした。










                                             了

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