オマケ






三橋の家の冷蔵庫はでかいから、きっと入るだろう。

冷静に考えながらオレは時間配分を計算した。

(大丈夫、すぐに戻れば授業には間に合う)

そう思っていた。 そのつもりだった。 
そりゃキスの1つくらい、という下心はあったけど。

家に入って三橋の顔を改めて見たらまだ涙目で、しかも鼻が赤くなっていた。
まるでこっそりとずっと泣いていたみたいな。
嬉し泣き、だけじゃないような感じがして気になった。

「三橋、目ぇ赤い」
「う」
「何で泣くんだよ?」
「・・・・・・・だってオレ」
「うん」
「今日くらいオレからと、 思ってた のに」
「へ?」
「いつも、 オレばっかりしてもらって・・・・・・・」

うなだれた三橋の言葉を聞いて、少し驚いた。
それはむしろオレが考えていたことだったからだ。
そのまま口に出して言った。

「それ、オレが思ったことなんだけど」
「・・・・・え?」
「だってそもそもオレたちが付き合えたのって、おまえのおかげだし」
「へっ」
「おまえが 好きっつってくれたからだろ?」

三橋の目が大きく見開かれた。 同時に赤く染まった。 この顔は、もしかして。

(忘れてたなこいつ・・・・・・・)

でもまだある。

「それに最初のキスだっておまえが言ってくれたんじゃん」

今度は一瞬妙な表情になった。
なので思い出した。  「最初」 じゃないんだった。
でもその前のは記憶にないからオレにとっては最初だ。  それにまだある。

「去年のクリスマスにもおまえがきっかけくれたし」
「!!!」

三橋は絶句しながらもまた赤くなった。

「だからせめて今日くらいは頑張ろうと思ってたんだ!」

本音を言ってやると、びっくりしたような声でつぶやいた。

「オ、オレもそう、 思ってて」
「そうなのか?」

ちょっと呆れた。 全然自覚してなかったってことか。

「同じ、こと 考えてたんだ、ね・・・・・・・・」

そう言って、ぽろりと涙を一粒落としながら三橋は笑った。 その顔が。

あまりにもいじらしくてかわいかったもんだから。



来る途中で考えた時間配分が一瞬で宇宙の彼方に素っ飛んだ。

のはもう全然仕方のないことだと思うんだ。













                                               オマケ 了

                                               SSTOPへ





                                                     無自覚はお互いさま。