どうして こんなことになっちゃったんだろう・・・・・・・・・・・・・・


何回目かの同じことをまた思う。

けど考えてそれで解決するわけでもなく。
考えるより何か行動したほうがいいのはわかっていても、
それが不可能な今の状態では無駄と知りつついろいろ思うしかできない。
何か考えることすら実はもう難しい。

阿部くんの手のせいで。 指のせいで。 それから舌と、それ以外の部分、のせいで。
オレはもうまともな思考ができない。
ただただイヤだという思いだけがぐるぐると回っている。

イヤといっても阿部くんがイヤなわけじゃなくて。
阿部くんのやっていることの1つが。 つまり、

撮られるのが。


阿部くんの手にはさっきからデジタルカメラがある。
オレは何も身に着けていない。
おまけに手は縛られている。
さらに恥ずかしいのは足を大きく広げさせられていて、
閉じたくても閉じれない状況にあって。
それどころかオレは今まさに阿部くんに深々と貫かれていて。
その状態のまま阿部くんはカメラでオレを撮る。

オレの恥ずかしい表情も。
はしたなく濡れて震えている中心も。
それから阿部くんを受け入れているところも多分、 全部。



「イヤだ・・・・・・・・・」


何度目かの懇願。

「お願い・・・・・・・・・・・」

でも阿部くんは聞いてくれない。

「誰にも見せねぇから。」

そう繰り返すだけ。




ずっと前にもこんなことがあった。
阿部くんがオレの裸を撮ろうとしたことが。
でもあの時は泣いて頼んだらすぐにやめてくれた。
こんなに強引なことはしなかった。
なのに今日はダメだった。

わかっている。  阿部くんは怒っている、んだ・・・・・・・・・・・



オレが他のコとキスしたから。



だからこれはきっと 罰なんだ。



でもしたくてしたわけじゃない。
あっ と気付いた時はもうされていたんだ。  すごくナサケナイけど。



人気のない校舎の裏で。

「付き合っている人いるから。  ごめんね・・・・・・・・・」

その女の子はオレがそう言ったら、しくしくと泣き出した。 
びっくりしてどうすればいいのかわからなくておろおろして。
ようやく泣きやんでくれたかな とホっとした途端にされてて、
次の瞬間にはもうそのコは走っていっちゃった。
一瞬何が起きたのかよくわからなかったくらい素早かった。

それだけで済めば良かったんだけど。
その直後に阿部くんに声をかけられて心臓が止まるほど驚いた。


見られてた。
よりによって阿部くんに。


でも最初から見てた、って言ったから。
オレの意思じゃないってことはわかってくれてる、と思って少し安心して。
その時は阿部くんも別に怒ってるふうでもなかったのに。 (そりゃ少しは不機嫌そうだったけど。)


やっぱり怒ってた、・・・・んだ・・・・・・・・・・・・



オレをじっと見つめる阿部くんの目がいつもと違って見える。
何を思っているのかよくわからない。
けどきっと怒ってるんだと、 思う。


ほんとに他の人に見せない・・・・・・・?
オレのこんなかっこは阿部くんしか知らない。 当たり前だけど。

本音を言えば。
阿部くんになら、何をされてもオレはもう いいんだ。  でも。
写真が残ってしまうのが嫌なのは。
もし万が一誰かに見られたら。

そう思うと怖くて恥ずかしくて、なのにいくら頼んでも許してもらえない。


「阿部く・・・・・・・やめ・・・・・・・・・」


半ば諦めながらも口が勝手に動いてしまう。
イヤ、 と言うと逆効果になることもあるのは知ってるけど、言わずにいられない。
そしてやっぱりそうなった。


「まだ理性残ってんだな」


つぶやきが聞こえた。
なのでオレは本当に諦めた。
その後、さらにいろいろとされてしまって。



最後のほうはもうよく覚えてない。


目蓋の裏にフラッシュの光を感じて
あぁまだ撮っているんだなと  ぼんやり思った。




絶対に、   絶対に誰にも、  見せないで、ね・・・・・・・・・・・・・




意識を手放す前の一瞬それだけを、  切実に  願った。














                                                   了

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