不意打ち





イライラする、     とオレは思った。

三橋が何か言いたげだ。
さっきからオレの顔をちらちらと見ている。
急かさずにさり気なく待っててやっているのに。

ちらちらと時折見ながら、何か言いたそうな顔のまま沈黙し続けている。

言いたいことがあればハッキリ言え! てことは常々口をすっぱくして言ってあるのに。
未だにこいつは守らねぇ。
・・・・そういう性格だと言ってしまえばそれまでだけど。
でも、せめて自分くらいには、 と腹立ちと少々の切なさを伴って
思ってしまうのはどうしようもない。


結局我慢できなかった。


「何だよ三橋」
「へ?」
「オレに言いたいことがあんならさっさと言え!」
「え・・・・・・・」

想い人はうろうろと視線をさ迷わせた。
それから困ったようにぼそぼそとつぶやいた。

「い、言いたい、 ってワケじゃ」
「いいから今考えてたことを言え!!!」

さっきから苛ついていたから、つい乱暴な口調になってしまった。
三橋はほんのり赤くなった。

・・・・・・・???  何でここで赤くなるんだろう。

「あ・・・・阿部くんて」
「うん」
「顔が」
「・・・・・・・・?」
「かっこいいな、 て思って、 た・・・・・・」

はい??    

と思いながら、

自分の顔がすごい勢いで熱くなるのが、 わかった。

だって不意打ちだろこれ・・・・・・・・・・・
えーと・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「でもオレ タレ目だし」

なに真面目に返してんだバカかオレ!!!

「え、でもかっこいい、よ!  オレ、阿部くんの目、スキだよ!!」

こ、こいつ・・・・・・・・・・
恥ずかしがりやなクセに。
たまにすげぇハズカシイことを臆面もなく言うよな・・・・・・

「・・・・・・どーも。」

うひ、 っと三橋は嬉しそうに笑った。 そして言った。


「阿部、くん。 顔 まっか」


こ、 こ、 このやろう・・・・・・・・・・・・・

「おまえが変なこと言うからだろぉ?!」
「え、 でも阿部くんが、 言えって言ったから・・・・・・・」

そのとおり。  あぁもう。


オレは黙って三橋の体を引き寄せた。

このまま降参してたまるもんか    と思いながら。











                                           不意打ち  了

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                                                勝手にやってれ。