もっと

「もっと　　って言って」

言うとあいつは大抵イヤがる。

何でか知ってる。　恥ずかしいから。

でもそんな理性なんて飛ぶくらいの状態にしてやると言ってくれる。

どこか放心したような　　甘い声で。

「もっと・・・・・・・・　あべ、　　くん・・・・・・・」

もっと言って、　三橋。　
もっと欲しがって。

本当は

こんな時でなくても言ってほしい。

オレを見て。　オレを欲しがって。

たまに切望する、コトバ。

何でなのかな。　理由はわかるような気もすんだけど。

でも考えない。

考えるより三橋が言ってくれたほうが早い。

・・・・・・・・・早く安心できる。

だからもっと、　オレのこと、　貪欲に欲しがって。

三橋。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　了

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