願い






投げることが好きだ。

小さい頃から好きだった。

投げるためならどんなにしんどくても平気。

投げられなくなる恐怖に比べたら。



そして投げる先には

できれば彼にいてほしい。

彼に向かって投げるとき、オレが一番幸せな瞬間。

この瞬間があれば

オレはどんなにつらくても頑張れる・・・・・・・・・・・・。





「三橋!  5球!」

いつものように阿部くんが指示をくれる。

そしてオレは18.44メートルの距離を埋めるために投げる。






オレはこの先何があっても


この至福のときがあったことを


一生忘れないで生きていく。













                                      了

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