道







眠りに落ちる前にベッドの中で ぼーっとしながら阿部くんの手に何となく触っていた。

この手が大好きだから。

オレの球を受けてくれる手。
オレの体を熱くする手。

慈しむようにそろそろと触っていたら。
唐突に阿部くんが言った。

「オレの手がさ。」
「・・・・・・・?」
「球を受けるかおまえに触るか、どっちかしかできないとしたらどっちを選ぶ?」
「!!」

そんな意地悪な質問・・・・・・・・・・・・・・・・

「選べない・・・・・」

正直に答えたら
「ダメ。 どっちか。」  と言われてしまった。

・・・・・・どっちかと・・・・・・言われたら・・・・・・・・・・・・・

でも言えない。  きっと怒る。

「怒んないから言えよ。」

まるでオレの心を読んだかのように阿部くんが言う。
それでも言えないでいたら 「当ててやろうか」 と言われた。

「球を受けるほうだろ?」

何でわかったのかな・・・・・・

びっくりしながらオレは少し慌てた。  怒られる、 と思った。

でも阿部くんはすごく楽しそうに笑った。
本当に、 全然怒ってないようだった。

それから

「大好きだよ、 三橋」

と囁かれた。









                                               了

                                            SSTOPへ









                                         意外にも 「これ好き」 というお言葉を多数いただきました。m(__)m